2018年3月18日日曜日

【 #遊戯王 「2018/04/01〜」適用のリミットレギュレーション】前期を振り返りつつ、新レギュレーションについての所感を














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遂に公開された「2018/04/01〜」適用のリミットレギュレーション。


今期(2018/01/01〜環境)はデッキ分布こそ大きく分散し、多様性に富んだ環境を演出して見せたものの、前期終盤から猛威を振るっていた先攻1ターンキルを持ち味とする【植物リンク】が環境を飲み込む勢いで勢力を伸ばす格好となり、それに対抗する形で他のデッキは「手札誘発」を多量に積み込み、先攻1ターンキルアクションの抑制に全力を注ぐといった様相を呈していました。


しかし、バーンを用いることでデッキの始動が勝利に直結する利点を持つ【植物リンク】も他の意識が大きくなるにつれて、そのパワーは桁外れである事に異論は無くとも、絶対的な選択肢と言える程ではありませんでした。
実際に他のデッキタイプ、【魔術師】【セフィラ】等の「ペンデュラム」をはじめ、【トリックスター】【彼岸】と言った罠ビートタイプのデッキの入賞も多く見受けられ、様々なデッキが一長一短ありつつ、歪にも拮抗したパワーバランスを保っていた様に思えます。


そんな最中にリリースされたエキスパンション《フレイムズ・オブ・デストラクション》の収録カードの面々によって、環境は大きく変貌を遂げる事となります。


新たな「手札誘発」カードの登場


《フレイムズ・オブ・デストラクション》に登場した「罠」カードで、以降汎用カードとしてあらゆるデッキが展開への抑止力としての搭載を余儀なくされた「手札誘発」としての性質も併せ持った『無限泡影』。
このカードによって、『外神アザトート』を用いる事で数多の「手札誘発」を交わしてきたキルパターンをも抑制し、それに全力を注ぐ【植物リンク】の勢力縮小にも期待がかかりました。
しかし、蓋を開けてみれば、そんな淡い希望も同弾収録のカードによって打ち砕かれる結果となります。


『無限泡影』同様に手札から発動可能な「罠」カード、その上「スペルスピード3」と最も対応が困難な「カウンター罠」である『レッド・リブート』の登場です。


あらゆる「罠」を無差別に無力化し、備えられたデメリットも1ターンキルを押し通してしまえば無に等しく、『無限泡影』による先攻展開への干渉をも制し、その上「罠」を妨害の要として据える罠ビート系統のデッキは特に被害を被る格好となりました。
『レッド・リブート』登場と後の流行は、同弾にて強化が施され、手札から発動可能な罠カード『無限泡影』と『オルターガイスト ・マルチフェイカー』の相性が良好である点、メインのスロットにも比較的余裕があり、【植物リンク】への対抗には必要不可欠な「手札誘発」を多量に搭載可能である点も評価され、一躍環境上位にまで上り詰めた【オルターガイスト】。







こちらが罠を中心とした立ち回りを基軸とし、【植物リンク】に対して有利とされていた事も影響しており、これが周知されはじめた頃合いにメインから『レッド・リブート』を搭載した【植物リンク】が姿を現し、【オルターガイスト】側が僅かに有利とされていたマッチアップの構図にも揺らぎが生じていた様に思えます。


また、【植物リンク】の強化はそれだけにとどまらず、以前よりモンスター効果(手札誘発)に対しては、先述した『外神アザトート』の存在からある程度の耐性を有していたにも関わらず、『無限泡影』『レッド・リブート』と時を同じく、《フレイムズ・オブ・デストラクション》にて登場した『墓穴の指名者』によって、更にそれらを跳ね除けた上での1ターンキル成立に拍車がかかる事となりました。


これを受け、「手札誘発」モンスターによる妨害を成立させる為には複数枚、それも同名を封じる『墓穴の指名者』を避ける為には、搭載する「手札誘発」の種類を増やし、対抗可能とはいえ『レッド・リブート』は素引き前提である為、モンスターよりは信頼度の高い『無限泡影』を優先的に採用し、デッキによっては『墓穴の指名者』によって発動を阻害されない点が評価されてか『PSYフレームギア・γ』の採用も時折見受けられました。


この様に、《フレイムズ・オブ・デストラクション》によって飛躍的に妨害への耐性を備えた【植物リンク】が環境内の地位を確固たるものとしてゆくも、そうなれば「手札誘発」を多量に積んだ【オルターガイスト 】【サブテラー】【トリックスター】【彼岸】等がそれをさせまいと奮起し、メタが確立した環境中期以降は波も徐々に穏やかとなり、なんとかバランスを保てていた様にも映りました。


そして、遂に【植物リンク】が対応に喘ぐ要素を持ったテーマが台頭します。
そう、「速攻魔法」による妨害を敷くことが可能な【閃刀姫】の登場です。
『墓穴の指名者』『レッド・リブート』では対応しきれない妨害手段をメインギミックの一環として取り入れることが可能な上、1枚始動を可能とする罠ビート寄りであるその性質上「手札誘発」搭載枠の確保も容易で、対【植物リンク】に関しては比較的理不尽なゲームを回避し易い部類のデッキで、実際【閃刀姫】のリリース以降は、それまでの【植物リンク】が醸し出していた勢いは見られず、着実に衰退の一途を辿っていた様に思えます。
構築の根幹部分に触る事で一見不利な部分の解消も望めたのかもしれませんが、環境も終盤に差し掛かろうかというタイミングであった事もあり、特にそういった改革も無く新レギュレーションの公開を迎えることとなりました。


さて、前置きが長くなりましたが、この様に環境を通して先攻ワンキルが横行した事態を受け、この度はどういったレギュレーションのメスが入るのか。
また、過去テーマの緩和に関しても注目したい、此度の改訂リストを禁止から順に見ていきましょう。












新禁止カード


  • 『BF-朧影のゴウフウ』
    「制限→禁止」


「BF」の皮を被った凶悪なチューナーモンスター。
本来、あらゆる召喚方法への使用を制限されるはずの自身が生成する「トークン」も発売時期の関係から「リンク召喚」に関する記述は一切なく、召喚権を消費せず1枚から「リンク3」が成立します。
各種「トロイメア」や『星杯戦士ニンギルス』を用いる除去要員といったような、後手捲りや罠を踏む役割を担う他、チューナーである性質を活かし、頃来の先攻制圧・超展開への入り口。『水晶機巧-ハリファイバー』へと容易且つノーリスクで向かう事ができる点は、数多のリンクを用いた凶悪コンボを単体で実現可能。
おまけにありとあらゆるデッキへの搭載が可能な事が、テーマ毎のカード採択の多様性を損なう面もあり、汎用性が高すぎるが故に禁止化は妥当といえます。
前回、同様に『水晶機巧-ハリファイバー』の影響を受けてから制限に指定された『BF-隠れ蓑のスチーム』然り、今回も純粋な「BF」愛好家にとっては苦い改訂となりました。




  • 『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』
    「無制限→禁止」


前置きでも触れた【植物リンク】の先攻展開を純粋な盤面形成に留まらず、ライフを削りきる先攻1ターンキル成立にまで押し上げる要因となったモンスター。


展開過程で墓地に10枚以上の「植物族」を用意し、最終的に『ライトロード・ドミニオンキュリオス』から『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』へのピンポイントのアプローチから『トポロジック・ボマー・ドラゴン』とのコンボにより、蘇生と破壊を繰り返す事でバーン効果を連打する1ターンキルは、今期大会でプレイしてきた方なら一度は体験したのではないでしょうか。


『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』を用いるプラン自体は昔から存在していたものの、新たに「リンク」システムの導入により、墓地へ落とす手段(『ライトロード・ドミニオンキュリオス』)と破壊する手段(『トポロジック・ボマー・ドラゴン』)が潤沢となり、遂に実戦レベルの実用化を果たしました。
今環境では「植物族」の展開に関するポテンシャルの高さと、「リンク」を絡めた終着点としての凶悪さが露呈した結果、禁止リストへと名を連ねることとなりました。
これによって先攻1ターンキルデッキの一角で、最も対人レベルにチューンアップされていた【植物リンク】は従来の先攻1ターンキルパターンを失いました。
しかし、現在はその他にも先攻1ターンキルを可能とするデッキタイプが存在し、それらがバーンに用いる『キャノン・ソルジャー』や『アマゾネスの射手』は今回の改訂を抜ける格好となっており、今後も気を抜けない事は確かです。
基本的に全ての元凶は容易なサルベージと展開補助の役割をこなしてしまう『ファイアウォール・ドラゴン』であるようにも思えますが、アニメ「ヴレインズ」の関係上、即刻禁止化という訳にもいかないでしょうから、もう暫くは先攻1ターンキルの恐怖とも向き合っていく必要がありそうです。












新制限カード


  • 『D-HERO ディスクガイ』
    「禁止→制限」


かつては凶悪なドローソースとして名を馳せ、禁止カードにまで指定された『D-HERO ディスクガイ』が遂に制限復帰!
しかし、当時の能力そのままという訳にはいかず、恒例のエラッタを受けての緩和となります。


  • エラッタ後のテキスト

このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
このカードは墓地へ送られたターンには墓地からの特殊召喚はできない。
(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。


複数回の蘇生による連続ドローを持ち味とした面影はなく、デュエル中1度の制約と墓地へ送られたターンには特殊召喚できない条件が加えられ、大幅な弱体化となりました。
しかし、『終末の騎士』や『聖騎士の追想 イゾルデ』から容易にアクセス可能な現状を鑑みれば、こうでもしなければ制限復帰は不可能と言えましょう。
全盛期当時に比べて蘇生手段も豊富な現在、エラッタ後の能力も使い切りとはいえ1種のドロー手段としてみれば、いずれ利用価値が出てくるかもしれませんね。


エラッタ後の最新テキスト版は、2018年3月23日発売の《パーフェクトルールブック2018》に同梱予定です。




  • 『虹彩の魔術師』
    「無制限→制限」


環境でもトップレベルのパワーと安定性を保持した【魔術師】に於いて、展開補助・後続確保を可能とする『星霜のペンデュラムグラフ』と、強力な「魔術師」専用妨害「罠」カード『時空のペンデュラムグラフ』を必要に応じてサーチし分ける事で安定した戦線維持に繋がり、妨害手段の獲得とデッキの「魔術師」の循環役を兼任しデッキを支えた重役。
「新マスタールール」適用に伴い弱体化必至であった「ペンデュラム」を再び檜舞台へと押し上げた『ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム』によって、先攻時の起動が理想的なサーチ効果の運用が安定。
「魔術師」の基本アクションとして広く浸透して行きました。


後攻めの際にも自発的に破壊を行う自身の「ペンデュラム効果」によってダメージ量の底上げと「ペンデュラムグラフ」のサーチを可能とし、先攻・後攻問わず常に安定した立ち回りによって「魔術師」を支えたモンスターも、この度制限カードへと指定される事となります。


とは言え、『慧眼の魔術師』や『デュエリストアドベント』といったアクセス手段の豊富なカードである為、従来通りとはいかずとも、今後も「魔術師」の安定した立ち回りを支えるキーカードとして、基盤を担っていくこととなりそうです。







  • 『覇王眷竜ダークヴルム』
    「無制限→制限」


「闇属性」限定とはいえ、1枚でPスケールの上下を揃える現代版『EMモンキーボード』(禁止カード)とも称される(?)「覇王」カードも、遂にレギュレーションによって切り込まれます。


『おろかな埋葬』『竜の霊廟』『竜の渓谷』などから特殊召喚可能な「レベル4」モンスターとしても重宝され、同様にそれらからアクセス可能な『亡龍の戦慄-デストルドー』と共に、墓地肥やしカードの選択肢拡大にも貢献してきました。
当然「Pモンスター」である点も、今期の功績が著しい【魔術師】【セフィラ】等の台頭したペンデュラムテーマに於いても遺憾無く発揮され、スケール供給能力に長けた単体の性能も考慮されての規制でしょう。


「Pスケール」を上・下揃えなければならない性質上、手札の消費が激しい「Pテーマ」の欠点を補い得る汎用スケール。
元より複数枚搭載に加え、これをサーチ可能な『超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン』まで採用していたデッキは限られており、それこそ【覇王】色を強く取り入れたタイプの【魔術師】が代表的で、その他の多くはアクセス手段となるカードの柔軟性向上を主な目的とした採用がみられていた事もあり、制限に留まる限りは今後もこれまで同様の用途で利用されていく事が予想されるカードです。




  • 『トーチ・ゴーレム』
    「準制限→制限」


「リンク」登場以降、そのカードプール増加に伴い強化され続けるであろう、1枚で驚異的なリンク数を叩き出す「リンク」化身。
現在は『アカシック・マジシャン』『セキュリティ・ドラゴン』『ファイアウォール・ドラゴン』と繋ぐお馴染みの展開から、着地点に『トロイメア・グリフォン』を据える事が可能となっており、『アカシック・マジシャン』の効果によって墓地に落ちた「魔法・罠」を拾いつつ、特殊召喚されたモンスターへの抑止力を擁立する『トーチ・ゴーレム』。
エクストラデッキの構成次第では後攻時の1ターンキルも可能なパワーカード中のパワーカードは、前回改訂にて準制限のクッションを挟んでの制限化となっていますが、これについては妥当という言葉しか出てきません。
エクストラの枠を食うとはいえ1枚から成立して良い展開の程度を完全に超えています。







  • 『ローンファイア・ブロッサム』
    「準制限→制限」


こちらも先攻1ターンキルを武器とした【植物リンク】の中核を担ったモンスター。


『ダンディライオン』『グローアップ・バルブ』『捕食植物オフリス・スコーピオ』といった「植物族」の強力な展開に必要不可欠なモンスター群を呼び出す役割と共に、『フェニキシアン・クラスター・アマリリス』のバーンダメージ増加を図るべく、デッキから必要分の「植物族」モンスターを稼ぎ出す事にも用いられ、『アロマセラフィ-ジャスミン』等を駆使し、如何にしてこれにアクセスするかが【植物リンク】の1ターンキル成立に於いては大変重要とされていた程。
かつて、「シンクロ」全盛期にも「植物族」ギミックは猛威を振るい、『ローンファイア・ブロッサム』も制限カードに指定されていました。
漸く準制限に復帰したにもかかわらず、またしても大罪に加担し、規制強化を受ける羽目に。
今尚健在と言える程驚異的な展開力を有する「植物族」ギミックは、今後の改訂に於いて、より一層慎重に扱われていく事となりそうです。


否、そうでなくてはなりません。




  • 『捕食植物オフリス・スコーピオ』
    「無制限→制限」


こちらも【植物リンク】の展開を広げる重要な役割を担ったモンスター。
その上、殆どの場合セットで採用されている、リクルート先となる「捕食植物」モンスター『捕食植物ダーリング・コブラ』が「フュージョン」カードのサーチを成す能力を持つ性質上、『簡易融合』『ブリリアント・フュージョン』といった汎用的なカードへの容易なアクセス手段としても利用され、『捕食植物オフリス・スコーピオ』『捕食植物ダーリング・コブラ』共に「レベル3」である事を活かし、『彼岸の黒天使 ケルビーニ』のリンク素材としても有用。
これにより『ダンディライオン』や『BF-隠れ蓑のスチーム』を墓地へ落とし、その後の展開を強化する手法は、汎用性にも富んでおり、環境を騒がせた【植物リンク】に於いても使用されていました。


こちらも単体でこなすには少々過剰とも言える展開アクションが実現可能となっており、【植物リンク】でのワンキル幇助という面を抜きにしても、制限に値する程度のスペックを備えるカードです。







  • 『エルシャドール・ミドラーシュ』
    「無制限→制限」


「闇属性」を素材とする「シャドール」の融合体。
今環境での目立った活躍はありませんが、今回制限に指定される『捕食植物オフリス・スコーピオ』から『捕食植物ダーリング・コブラ』を呼び出し、その能力で『簡易融合』をサーチ。
「レベル3」の『捕食植物オフリス・スコーピオ』『捕食植物ダーリング・コブラ』で『彼岸の黒天使 ケルビーニ』をリンク召喚し『簡易融合』を発動。
そのリンク先に『エルシャドール・ミドラーシュ』を特殊召喚する事で、『彼岸の黒天使 ケルビーニ』によって破壊耐性の恩恵を受けた『エルシャドール・ミドラーシュ』は『簡易融合』のエンドフェイズに自壊するデメリットを免れ、汎用的な特殊召喚回数に制限を設けるモンスターとして運用可能となっていました。


しかし、先述した様に『捕食植物オフリス・スコーピオ』と、それへのアクセス手段としても重宝された『ローンファイア・ブロッサム』の制限化に伴い、サブギミックとしての採用自体が危ぶまれる事態ともなっており、この規制強化にはどういった意味が込められているのか気になるところではあります。
此度の改訂では、長らく禁止カードに指定され続けた「シャドール」待望の「光属性」を素材とする融合体『エルシャドール・ネフィリム』が制限復帰を果たす事となり、それに伴うバランス調整を図ったという見方もありますが、残念ながら運営側の真意は定かではありません。




  • 『エルシャドール・ネフィリム』
    「禁止→制限」


「シャドール」の全盛期を支えた「光属性」を素材とする融合体。
『エルシャドール・ミドラーシュ』の項でも触れましたが、各属性を融合素材として利用するテーマ「シャドール」唯一の「光属性」融合枠が長らく禁止リストに名を連ねていた事で構築面の自由度は低下し、数ある「シャドール」融合体の中でも、特殊召喚されたモンスターとの戦闘に於いては敵無し。
トップクラスの解決能力を誇る貴重な戦闘要員を欠いていた事も大きな痛手となっていました。


特定の条件下で融合素材をデッキから選定可能な『影依融合』の存在から、墓地へ送られる事が有効となるカード群の悪用が懸念材料で、「シャドール」全盛期には存在しなかった自己再生能力を有する「光属性」の『Emトリック・クラウン』や、『妖精伝姫-シラユキ』。
テーマに限定されるものの、「ブルーアイズ」モンスターのリクルートを行う『太古の白石』といった選択肢も加わっており、以降も墓地からの利用が可能となる有力な「光属性」モンスターが登場する度「シャドール」ギミックの有用性向上が見込まれ、これまで以上に出張ギミックとしての価値を高めてゆく事でしょう。


『エルシャドール・ネフィリム』の緩和は純粋に「アーティファクト」要素を妨害兼融合素材として添える【AFシャドール】の様な構築も可能とし、構築や出張ギミックとしての採択に幅が生まれます。
『エルシャドール・ネフィリム』の緩和は、今改訂中、個人的にトップクラスの高揚ポイントです。







  • 『召喚獣メルカバー』
    「無制限→制限」


こちらも各属性を融合素材として成立する融合体を武器とするテーマ「召喚獣」の「光属性」枠。
「フィールド魔法」『暴走魔法陣』から素材となる『召喚師アレイスター』、そこから『召喚魔術』と成立に必要なパーツを順に獲得可能で、同様に「フィールド魔法」をスタートに据える【トリックスター】等にも採用され『盆回し』の選択肢としての機能も果たす出張ギミック的役割も担っており、基盤となる『召喚師アレイスター』の規制後は特にその傾向が強くなっていました。
そんな『召喚師アレイスター』からなる融合先筆頭。
中でも抜群の妨害能力を備える『召喚獣メルカバー』の制限化によって、持ち味の継続的な攻め手の供給はそのままとはいえ、それに付随して敷く事が可能な受けの広い妨害要素の減少についての影響は少なからずあるでしょう。
一方で、頃来は【閃刀姫】との複合デッキを筆頭に、「リンク」の充実化に伴う「エクストラデッキ」の枠に関する困窮問題を抱えるギミックである事から、融合体は最小限に抑えられる傾向にもあり、強力な『召喚獣メルカバー』についても複数枚の搭載は要検討案件であった様に映りました。
制限化に伴い、「召喚獣」要素を強く出す際のゲームプランについては再考を要するポイントも出てくるでしょうが、出張と割り切る場合の影響に関しては問題視する程でもないのではないでしょうか。
此度の改訂で件の『召喚師アレイスター』が緩和されるも、それと入れ替わる形で融合体が制限リストに追加される事となり、「召喚獣」が再び万全の状態で利用できる日はまだ先の様です。




  • 『ルドラの魔導書』
    「無制限→制限」


『魔導書士バテル』『グリモの魔導書』からサーチ可能なドローソースで「魔法使い族」全般のサポートカードとしても優秀な「魔導書」カード。


前回改訂で『グリモの魔導書』が制限カードとなり、今期の採用率は激減したものの、「魔法使い族」を主体とするデッキに於いては貴重なドローソースであり、種族に関係なく、単純に『魔導書士バテル』『グリモの魔導書』と共に採用することで「魔導」要素にブースターとしての機能を持たせてくれています。
此度の改訂を以て、前回規制を受けた『グリモの魔導書』が解除され、入れ替わる形で『ルドラの魔導書』が制限に。
これによって、重要な初動を奪われる格好となっていた「魔導」の救済、加えて「魔導」のドローソースとしての補助機能回復も望めます。
しかし、『ルドラの魔導書』1回分のために「魔導」ギミックを搭載するいうのも些か不安を残す面があり、以前の様な万能ドローソースとは言い難い絶妙な位置付けとなりそうです。












新準制限カード


  • 『灰流うらら』
    「無制限→準制限」


その高い汎用性・奇襲性を活かした有用な「手札誘発」としての妨害に加え、相手から放たれると非常に厄介な『増殖するG』に対して発動しそれを無力化する事も可能と、攻防一体柔軟性の高さも窺わせる稀有な存在。
『水晶機巧-ハリファイバー』の登場以後はチューナーモンスター自体の価値が向上した事でそういった応用が効く面も併せ持ち、頃来はありとあらゆるデッキが3枚搭載を基本としており、構築に際する採択面の多様性を大きく損なうカードの1種とされてきました。


このカードが高い確率で3投されている環境では、デッキを回す上で手札コストを要するサーチカードの採用自体がリスキーな採択となり、あらゆる面で構築やデッキ選択の自由を奪っていた点は否めません。
とはいえ、少なからず『隣の芝刈り』等のイージーウィンを狙い易いギミックへの抑止力として機能していた面もある為、此度の規制強化に伴う環境への影響が懸念されます。
『増殖するG』の前例を鑑みても「手札誘発」の扱いに関しては、非常に難しい問題となっている様に感じます。




  • 『召喚師アレイスター』
    「制限→準制限」


今回、融合先筆頭候補であった『召喚獣メルカバー』が制限に指定されたものの、融合成立には欠かせない。ギミックの根幹となる『召喚師アレイスター』自身が準制限に緩和された事で、それにアクセスするための『暴走魔法陣』や「召喚獣」が主に使用する融合魔法カード『召喚魔術』。
どうあっても『召喚師アレイスター』に依存するこれらを複数搭載する際、『召喚師アレイスター』の循環が阻害された途端にギミック自体の機能が停止寸前にまで追いやられてしまう点が、採用する上では懸念材料であったことを鑑みれば、此度の緩和を受け、そういった部分のリスク軽減が期待できる点は「召喚獣」の地位をさらに引き上げてくれそうです。
根強い人気テーマである事も相まって、改訂後の環境では見かける機会が激増するのではないでしょうか。
今期既に結果を出している「閃刀姫」との複合タイプの動向にも注目です。







  • 『真竜の継承』
    「制限→準制限」


「真竜」のリソースを広げる純粋な「真竜」魔法としての役割から、相手の「真竜」カードが墓地に送られ際にもドロー数にカウントする点を利用したメタ的な運用も成された優秀なドローソース。


しかし、「真竜」全盛期の安定を支えた『ドラゴニックD』や『真竜剣皇マスターP』が未だに禁止リストに名を連ね、制限に指定されている『真竜拳士ダイナマイトK』『真竜皇の復活』の功績も大きく、復権や出張としての運用にはもう一押し基盤となるパーツの緩和が必要である様に感じます。
当然メタとしての機能も【真竜】やそれを搭載したデッキの存在あってこそ。
驚異のパワーで環境を染め上げた「真竜」の復権は一筋縄ではいかないようです。




  • 『神の宣告』
    「制限→準制限」


長らく制限カードの代表格として、今尚その性能は健在。
元祖「神」シリーズも遂に準制限へ緩和され2枚投入可能となります。
最近では希少な採用率の高い純粋な「罠」カード『神の宣告』『神の警告』『神の通告』これら3種全て準制限カードとなり、罠ビート必携の妨害カードとなりそうです。
『拮抗勝負』『レッド・リブート』といった対罠ビートに於いては無類の強さを誇るカード群への対応にも採用可能枚数の増加に伴い、少なからず貢献が見込まれます。


「神」の名を冠する無効スペルの中でもトップクラスの性能を備える『神の宣告』の緩和によって、「罠」の採択はますますカウンター罠に寄っていくと思われますが、『ハーピィの羽根帚』等の全体除去をケアする事が可能な『神の宣告』あってこそ、「その他の罠が活きてくる」という見方もできますから、今後の妨害に関する採択の変化についても注視していきたいですね。












制限解除


  • 『同族感染ウィルス』
    「準制限→制限解除」


同種族のモンスターを展開するデッキに対して有効な除去ではあるものの、『ブラック・ホール』や『拮抗勝負』といった手軽な全体除去に相当するカードが無制限にある現状、召喚権を消費した上で手札コストまで要求する限定的な除去である『同族感染ウィルス』が優先的に採用されるケースは稀でしょう。


頃来のリンク展開に多く用いられる「トロイメア」を利用した展開が「悪魔族」モンスターに統一されるも、『トロイメア・ケルベロス』が絡んだ場合はなす術なく、不安定な除去となります。


とはいえ、『雪花の光』を採用する性質上、除去手段をモンスターに頼らざるを得ない昨今の【海皇水精鱗】あたりへの採用は検討できる域にありましょう。
「水属性」モンスターのコストに使用された際に効果を発揮する「海皇」との兼ね合いも可能性を感じます。
しかし、準制限であった今期も採用はほぼ見られず、やはり召喚権の消費や起動効果である点が採用に至らない要因となっているのでしょう。
長い禁止期間を経て、ついに無制限復帰を果たしたのですから是非とも活用したいところです。




  • 『召喚僧サモンプリースト』
    「準制限→制限解除」


かつては非常に強力とされた、手札の魔法カードをコストにデッキから「レベル4」モンスターをリクルートする能力を持つ『召喚僧サモンプリースト』も、前回準制限に緩和されたにもかかわらず、目立った採用や活躍は見られず、それを受けての制限解除という事でしょうか。
今後は「レベル4」を軸に据える「HERO」等、着実に新カードによる強化が施されているテーマの躍進に一役買ってくれることに期待したいところです。







  • 『輪廻天狗』
    「準制限→制限解除」


海外新規として登場した『輪廻天狗』は海の向こうで「植物族」のギミックと共に連続したシンクロ召喚、後続の供給を為すアタッカーとして活躍した事で規制を受けた状態で来日、以降1度も緩和される事無く現在に至る為、日本国内では未だ3枚使用可能となった時期を持たない希少なカードでした。
最近ではルールの変更やパワーインフレによって「緩和して良いのでは」と囁かれていた程。
フィールドから離れた際に後続の『輪廻天狗』をデッキから呼び出す特性は、現在主流となっている「リンク」システムとの相性は良好である為、漸く解除されたこの機に、国内でも何らかの形で活躍できると良いのですが、メインの枠を大きく割く性質上、少々扱い辛い一面も目に付く為、本来の汎用カードとしての採用は難しいかもしれませんね。
『副話術士クララ&ルーシカ』の素材として利用すれば『輪廻天狗』1枚から最大「リンク3」まで到達可能となっており、限定的ながらもこういった運用も視野に有効活用案を模索したいカードです。




  • 『グリモの魔導書』
    「制限→制限解除」


今回制限指定される『ルドラの魔導書』と入れ替わる形で制限解除となる『グリモの魔導書』。
『ルドラの魔導書』の項でも触れた様にあちらの登場以降の「魔導」はドローソースとして搭載される機会が激増。
あまりにも高い汎用性を備えたドローソースとなっていた為、それを抑制する形での規制が施されていたのでしょうが、前回改訂で『グリモの魔導書』自体を規制してしまった事で、本来の用途である【魔導】の循環機能が低下し、構築不可といっても過言ではない程度に打撃を受けてしまっていましたが、今回『ルドラの魔導書』と入れ替わる事でその点も解消されます。
「魔導」のドローソースとしての役割を残しつつも回数を制限し、テーマ自体はそのまま生かす。良い方向に落ち着いたのではないでしょうか。







  • 『汎神の帝王』
    「準制限→制限解除」


「帝王」待望の強力なエンジンカードが遂に完全解禁。
新「帝王」カード『再臨の帝王』や『天帝従騎イデア』のリクルートが望める『聖騎士の追想 イゾルデ』の登場を受け、規制前の全盛期以上に高いポテンシャルを有するデッキへと成長を遂げており、メタの兼ね合い次第では上位に食い込む可能性も十分に期待できます。
一方で、「閃刀姫」という新たな補助ギミックを取り入れ、以前は『汎神の帝王』もそのブースターを担った先攻1ターンキルデッキの1つ【マジエク帝】の存在があり、これに関しては一抹の不安が残りますが、先攻1ターンキルデッキ自体は【インフェルニティ】【ゼンマイ】【ユニオン】といった様に改訂後も健在で、その中に1つ加わる可能性が高くなるだけの事。
数が増える様なら専用メタを積むなり、対策を怠らなければそう簡単には成立しません。しかし、サイドデッキの採択に多少なりとも影響を与える存在である事は確かです。
その類のデッキに対しては常に意識を向けておかねばなりませんね。




  • 『貪欲な壺』
    「準制限→制限解除」


現状エクストラデッキ内のリソース枯渇が問題視される様なデッキタイプであっても採用を躊躇う程、初手で機能し得ない性質が懸念材料となっており、此度の改訂を以て晴れて制限解除を果たすも、複数枚の採用に踏み切る程余裕のあるデッキはそうそう現れてはくれません。
とはいえリソースのリカバリ手段に於ける選択肢ひとつとして、規定の最大値採用できる様になった事で、今後はモンスターを多量に再利用可能なプランとして搭載する案も視野に入れておきたいところではあります。







  • 『モンスターゲート』
    「準制限→制限解除」


『闇黒世界-シャドウ・ディストピア-』を用いる事で実質ノーコストによる除去を伴った運用も可能となっており、更には「インフェルノイド」モンスターを多量に搭載し『名推理』や『モンスターゲート』、『隣の芝刈り』等を採用したタイプの【インフェルノイド】に於いては、多くが『隣の芝刈り』の効力を最大とするべくメインデッキの枚数を60枚にまで増量しており、此度の改訂によって、初動となるカード『モンスターゲート』の緩和が施される事で、強力なアクションを以てスタートを切る可能性が向上。
その上墓地肥やしに関するあらゆる初動を妨げる『灰流うらら』が同時に準制限に加わった事も追い風となっており、墓地肥やしに特化する【インフェルノイド】という選択肢も、より現実味が増してきます。












まとめ


先攻1ターンキルデッキの横行など、ストレスフリーとは言い難い環境ではあったものの、振り返ってみればデッキタイプの多様化は大きく進み、プレイに関しても「手札誘発」ひとつ取っても差が出る程、駆け引きの多い環境であった様に思えます。
そんな今回の改訂に於いて、最も重要な項目であった【植物リンク】の規制、並びに拮抗していた環境上位に位置するデッキ群のパワーを著しく低下させない。という部分を含め、要点は押さえた改訂となっているのではないでしょうか。
規制緩和が施された「シャドール」や、基盤の入れ替えが行われた「召喚獣」「魔導」、新規カードによる間接的強化に加え『灰流うらら』の規制に伴った採用枚数の低減が追い風となる「インフェルノイド」等、前期は鳴りを潜めていたものの、今後の動向が注目される既存テーマの復権にも期待しつつ、来たる新環境に向け、手持ちのデッキもチューンアップしていかねばなりません。
新パックの情報も引っ切り無しに公開されており、プレイヤーはますます脳内が遊戯王漬けの日々となりそうですね。



















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