醒めない悪夢
永続罠「醒めない悪夢」の効果は同一チェーン上では1度しか発動できない。
(1):1000LPを払い、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象としてこの効果を発動できる。
そのカードを破壊する。
2017年1月14日発売の《マキシマム・クライシス》にて登場した「永続罠」。
リリース当初よりそのカードパワーは高い評価を受け、即座にサイドデッキ等への投入も見られた程に強力なカード。
当時は「十二獣」が猛威を奮う中、同弾にて登場した「真竜」系統のデッキがそれに対抗するといった様相。
「十二獣」側が対「真竜」系の起点となる『ドラゴニックD』の封殺や「メタルフォーゼ」を始めとする「ペンデュラム」の抑止力として採用し、その性能は世評の通り、目覚ましい活躍を見せ、一度発動されればゲームの支配権を握り、受け手は早急な対応を迫られるといった展開もザラで、そういった事象が起こり得るというのも『醒めない悪夢』の持つ高いポテンシャルを物語る要素の一つです。
そんな当初より高い評価を受けていた『醒めない悪夢』も環境の変化に伴い採用機会は減少。
【SPYRAL】環境突入後はほとんど採用が見られない程機会に恵まれませんでした。
しかし、次第に【SPYRAL】も「フィールド魔法」に特化したタイプが確立、その上『醒めない悪夢』が得意とする「Pテーマ」に属する【セフィラ】の躍進等、多くの要素が重なり、頃来はメイン採用まで見られるまでになり、加えてその多くは複数枚の搭載にまで踏み切っています。
また、《LINK VRAINS PACK》発売後はその傾向が特に顕著となりつつあります。
これは新規「リンク」によって【SPYRAL】に対抗し得る程、メインのパワーを底上げされたデッキ群が『醒めない悪夢』で更に対応力を補填しつつ環境への進出を試みている事に由来するのでしょう。
このところ、『スキルドレイン』『醒めない悪夢』と封殺に特化した「永続罠」に加え、後手を想定した「手札誘発」に妨害を委ねた「彼岸」の入賞等も散見され始めており、今後の環境に於けるデッキ分布の多様化にも、徐々に希望を抱けるようになってきているのではないでしょうか。
対【SPYRAL】の発動機会
《LINK VRAINS PACK》発売によって、多くのデッキが勝ち上がるチャンスを得たものの、やはり立ちはだかるは大本命【SPYRAL】。
これを無視することは到底叶いません。
前述したようにメイン採用にまで踏み切った場合、『醒めない悪夢』は対【SPYRAL】に於いてどのような場面で発動機会を得られるのか改めて思案してみましょう。
- 『盆回し』含め「フィールド魔法」の封殺
冒頭でも触れましたが、「フィールド魔法」に対する抑止力としては抜群の性能を有します。
現在最もシェアの高い『竜の渓谷』『亡龍の戦慄-デストルドー』まで搭載、『盆回し』を軸とし「フィールド魔法」にウェイトを置いた【SPYRAL】。
「SPYRAL」のサーチに加え、「SPYRAL」モンスターへの耐性を付与する『SPYRAL RESORT』は単発、維持、どちらも相手取る際は好ましくありません。
「フィールド魔法」に特化したタイプの初動には頻繁に絡むであろう『SPYRAL RESORT』に対して無類の強さを誇る『醒めない悪夢』。
「フィールド魔法」への干渉の可否は死活問題にさえなり得ます。
勿論、『トーチ・ゴーレム』『BF-朧影のゴウフウ』や、「フィールド魔法」を介さない初動には無力ですが、軸に据えているプランに対して有効となる点は非常に大きいです。
- 『SPYRAL GEAR-ビッグ・レッド』
『SPYRAL-ジーニアス』でサーチ可能な戦闘耐性付与の副次効果まで備える「SPYRAL」専用蘇生カード。
召喚権使用後に『SPYRAL GEAR-ドローン』の蘇生を試み、相手のデッキトップ確認を委ねるケースも存在するため、場合によっては展開阻止が見込める上に決定打となるケースも考えられます。
仮に、こちらの妨害が至らず『SPYRAL GEAR-ビッグ・レッド』の発動を許し、その後相手が形成した盤面が盤石ではなかったとしても付与された「戦闘耐性」が厄介で、相手の妨害の上からこれを超えるには少々骨が折れます。
そのため、維持される場合も厄介な『SPYRAL GEAR-ビッグ・レッド』をライフコストのみで気兼ねなく破壊出来る点は重要です。
- 『SPYRAL GEAR-ラスト・リゾート』
こちらも『SPYRAL GEAR-ビッグ・レッド』同様『SPYRAL-ジーニアス』からサーチ可能な「SPYRAL GEAR」。
加えてモンスターであるため、『SPYRAL RESORT』にも対応し、サーチ手段に富んだ1枚。
手札・場から自分フィールドの「SPYRAL」モンスターに対して自身を装備可能で、そのモンスターに「戦闘・効果破壊耐性」「相手の効果対象選択不可」と最高クラスの耐性を付与します。
こちらも『SPYRAL GEAR-ビッグ・レッド』と同じく、正攻法では場合によって対処に手間取る事もあり得るのでそれに対しても容易に干渉できる点は評価できます。
『SPYRAL GEAR-ラスト・リゾート』の主な用途としては強力な除去性能を備える『SPYRAL-ボルテックス』との併用による、破壊耐性を活かした損失なしの2枚除去に加え、『SPYRAL-ボルテックス』が抱える破壊時のデメリット軽減です。
この破壊耐性に依存しきった除去手段を逆手に取り、うまくいけば『醒めない悪夢』で相手フィールドを焼け野原と化す事態も否定は出来ません。
とはいえ、このアクションこそ相手への依存度が強く、狙って行えるものでもありません。
また、『SPYRAL RESORT』下では魔法・罠ゾーンの「SPYRAL」カードも対象に取る事が出来ないため、そういった意味でもマストカウンターは『SPYRAL RESORT』と言えます。
この様に、対【SPYRAL】に於いて『醒めない悪夢』が有効打となるカードは多く、モンスター主体の初動であった場合でも、決定力には欠けつつも、発動機会は確実に訪れるでしょう。
【SPYRAL】だけでなく、その他のデッキも意識できる点を考慮すれば、十分な働きと言えます。
ただ懸念材料としてはメインのギミックとして搭載されている『SPYRAL-ダンディ』の採用枚数によっては、発動機会を待たずして容易に退けられてしまう可能性も孕んでおり、過信はできません。
前述したように『スキルドレイン』を搭載し、そういった面にも蓋をできれば『醒めない悪夢』の妨害としての信頼度向上も見込めます。
「Pテーマ」への抑止力から永続への回答まで
環境トップに位置する【SPYRAL】に対しての効力も見込める他、元来得意分野として一定の評価を得ている対「ペンデュラム」。
この所は「セフィラ」が上位に食い込む帯域に位置する「Pテーマ」の代表格で、その他の「メタルフォーゼ」や「魔術師」、突き詰めれば「インフェルニティ」等、「覇王」ギミックを組み込んだデッキ全般も「ペンデュラム」を扱うデッキとなっており、それらを含めれば『醒めない悪夢』の効果範囲は非常に広く、持ち前の制圧力を遺憾無く発揮できる環境と言えるのかもしれません。
また、先にも述べたように《LINK VRAINS PACK》によって様々なデッキが活気を取り戻し、環境に名乗りをあげる過程で、『醒めない悪夢』等の単体で機能し高いパワーを有する永続カードの採用率が上昇する事で、それらの回答ともなり得る『醒めない悪夢』はその価値をさらに高める事となります。
「フィールド魔法」や「ペンデュラムスケール」に依存したデッキタイプの天敵となる『醒めない悪夢』は、同時に「永続魔法・罠」カードによる封殺プランの天敵でもあります。
「手札誘発」の様に、基本単発で駆け引きの少ない妨害要素とは異なり、こうした「罠」に主観を置いた駆け引きに魅力を感じるプレイヤーは少なくないはずです。
このところSNS等ではネガティブな話題が目に付きますが、《LINK VRAINS PACK》によって齎されようとしているデッキタイプ多様化の波。
加え、リミットレギュレーションの改訂まで1月余り、「リンク」の浸透具合を鑑みてもコンテンツの展望は開けています。
今後の遊戯王からは良い意味で目が離せません。
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