2018年1月13日土曜日

【遊戯王『屋敷わらし』】新たな手札誘発は墓地の利用を許さない














屋敷やしきわらし

チューナー・効果モンスター
星3/地属性/アンデット族/攻 0/守1800
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その発動を無効にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
●墓地からカードを手札・デッキ・EXデッキに加える効果
●墓地からモンスターを特殊召喚する効果
●墓地からカードを除外する効果









遂に発売となった新エキスパンション《フレイムズ・オブ・デストラクション》にて登場した「手札誘発」モンスターの新鋭。


その汎用性から、現在メインデッキへの投入率が驚異的な『灰流うらら』や、展開の終着点をEXデッキに依存したデッキに対しては無類の強さを誇るメタカード『浮幽さくら』。
これらと同様の「種族」とステータス値を備え、「チューナー」である点も共通する。
所謂手札誘発シリーズの1種となります。



昨今のOCG環境では「チューナー」である利点として『水晶機巧-ハリファイバー』の素材に活用可能となる事が挙げられ、更に広い視野で見れば「モンスター」である以上、効果の発動機会に恵まれずともありとあらゆる「リンク」モンスターの素材として運用手段を設けることが可能となっており、カード自身が備える能力以上の用途が期待できます。



その上で『屋敷わらし』の持つ能力は手札から発動可能な相手への妨害を成すもの。


現在、あらゆるデッキが妨害の軸として採用を余儀なくされるカード群の系譜である為、『灰流うらら』や『浮幽さくら』同様、抑止力として活躍の芽はあります。


今後の有効な運用法などを思案しつつ、その効果を細かく見ていきましょう。







墓地に関連する効果には一通り対応可能


デッキに干渉するカードに対して効果を発動する『灰流うらら』は多くのシーンで発動機会が訪れるカードとなっており、ゲーム中にその機会が訪れない方が稀な程。


一方で、今回登場する『屋敷わらし』の能力は墓地に干渉する効果全般に対して発動可能な「手札誘発」としてデザインされています。


(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その発動を無効にする。
この効果は相手ターンでも発動できる。
●墓地からカードを手札・デッキ・EXデッキに加える効果
●墓地からモンスターを特殊召喚する効果
●墓地からカードを除外する効果







『灰流うらら』の流行具合を鑑みても、現在は殆どのデッキがサーチやデッキから直接モンスターを特殊召喚等の手軽な展開手段を備えており、以前に比べて「墓地」のリソースへの依存度は低下したように思います。


しかし、機会の減少は見られてもその要素を含むものは今でも多数利用されており、頃来は一時採用率の落ち込んだ蘇生カードの代表格『死者蘇生』の採用機会も増加傾向にあります。



その傾向も相まって『屋敷わらし』が持つ「蘇生・サルベージ・除外」3パターンの墓地干渉効果への対応力は、墓地への依存度が低減している現在であっても、様々なカードに対して有効に働きます。


ここからは『屋敷わらし』テキスト内の項目毎に、その効果範囲を確認しておきましょう。







●墓地からカードを手札・デッキ・EXデッキに加える効果


当項により、墓地からデッキや手札に加えサーチやリクルートの先として有効となるリソースのリカバリ、15枠に定められたEXデッキのリソースの擬似的な拡張を試みる効果全般への対応が可能となり、間接的に後続の展開を抑制できる可能性もあります。
以下対応可能なカードの一例。




  • デッキ・EXデッキへのリソース還元

デッキリソース還元の代表的なものといえば『貪欲な壺』など、墓地のモンスターデッキに戻しつつドローの処理を含むものが挙げられます。



これに類する中には、モンスターに限らず墓地のカードをデッキに戻すことも可能な『貪欲な瓶』の存在も。



また「ランク4エクシーズ」に属し、現在でも利用機会のある『ダイガスタ・エメラル』も対応範囲に含みます。



しかし、『屋敷わらし』の効果は破壊等を伴わず、あくまで発動を無効とするに留まる為、モンスター効果に対して当てた場合はそのモンスター自体の処理を別途行う必要があります。
これについては『エフェクト・ヴェーラー』や『灰流うらら』も同様な為、多くが何らかの手段による処理を要します。



発動側が損失を被る「手札誘発」本来の性質を表しているようにも感じますね。







  • サルベージ

カード名の通り『サルベージ』に対してはもちろん、現実的には汎用リンクとして利用される機会も多い『ファイアウォール・ドラゴン』を用いた墓地のモンスターを再利用する手段に対しても発動可能で、最近流行の【植物リンク(ワンキル)】に対しての妨害機能もある程度は期待が持てるでしょうか。




これに関しても『ファイアウォール・ドラゴン』自体の解決には繋がらず、効果(2)の手札からモンスターを展開するに能力までは対応しかねます。
この利用方法であれば全ての効果を無効化する『エフェクト・ヴェーラー』で対処する方が有効。
とはいっても、その他に応用の利く『屋敷わらし』の副次的な効果として捉えるならば十分及第点と言えるでしょう。







●墓地からモンスターを特殊召喚する効果


墓地からモンスターを特殊召喚。
代表的な『死者蘇生』等の基本的な単体蘇生を成す物から、『ソウル・チャージ』『真炎の爆発』、「剛鬼」の強力な蘇生手段である『剛鬼再戦』等の複数体モンスターを一挙に蘇生可能なカード群に対して1枚で対処し得る点は評価したいところです。



こと墓地のモンスターを特殊召喚という括りに関しては、ピンポイントではあるも墓地からの再利用の芽を根絶やしにする『D.D.クロウ』の存在がある為、この様な差別化を図るに足る利点は『屋敷わらし』が適切な評価を受けるに必要不可欠となります。



『グローアップ・バルブ』等の自己再生能力を備えるモンスターや『デブリ・ドラゴン』等の墓地のモンスターを釣り上げる物に対しては、その後の展開にも影響を及ぼす『D.D.クロウ』の方がより有効となるケースも多いでしょうが、墓地に効果が及ぶものに関する対応範囲の差は歴然です。



また、頃来は『竜の霊廟』とその流れでアクセス可能となる自己再生能力を備える『亡龍の戦慄-デストルドー』『覇王眷竜ダークヴルム』あたりの採用も多数見受けられる為、それらに対しても一時的には有効となります。




双方効果の使用回数に制限が設けられていることから、そのターン中に関しては有効となるものの『屋敷わらし』は関連効果の発動を無効とするのみである為、次のターン以降は通常通りの運用が可能と、その場凌ぎ程度の効力に留まります。
条件さえクリアしていればノーコストで発動可能な『覇王眷竜ダークヴルム』はさておきライフの半分をコストとする『亡龍の戦慄-デストルドー』に対してはその場凌ぎといえども、ゲームへの影響は少なからずあるでしょう。


状況によるところも大きいですが、対応範囲は限られるも、効力では優る『D.D.クロウ』がならば、効果が広範囲に及ぶという点で優る『屋敷わらし』はさしずめといったところでしょうか。


一見似通った運用方法となる双方は比較される機会も多いでしょう。しかし、その実は全く異なる性質を持った「手札誘発」であるという一面も窺えます。







●墓地からカードを除外する効果


墓地のカードを除外する効果を含めたカード全般にも対応可能な『屋敷わらし』は先ほども挙げた墓地利用に対するメタカード『D.D.クロウ』を無効化する事も可能な為、時には自らの展開時に投じられる妨害カードへの保険的な運用も見込めます。
現状、『D.D.クロウ』の様な墓地に対するメタの採用はそれ程多い訳ではない為、こういった場面に直面する機会は少ないでしょうが、対抗策の有無によってデッキやカードの評価が一転する事も十分あります。
ましてや相手のアクションに干渉可能な「手札誘発」がその役割を兼ねるとなればその価値は計りしれません。


また、『ミラクル・フュージョン』等、墓地のカードを素材として除外する事で特定の召喚を成すカード群や、『氷結界の龍 トリシューラ』の様な墓地にまで効果の及ぶ除外を介した除去に関しても無効化の範囲に含まれます。




これによっても、相手の展開手段から除去手段に至るまで、多角的な対応が望めるカードである事は確かです。







まとめ


対応可能な範囲は広く、発動機会自体の発生見込みは『灰流うらら』にも引けを取りません。


しかし、『屋敷わらし』が対応し得る範囲には、『D.D.クロウ』や『スカル・マイスター』等の限定的ながらも『屋敷わらし』以上の効果が期待できるカードの存在があり、局所へのメタとしてはそれらに劣る格好となります。



もちろん、それらには対応し得ない範囲に効果が及ぶケースもあります。
『屋敷わらし』は尖ったメタカードとしてではなく、受けの広さをストロングポイントとするカードといえるでしょう。


また、墓地に対しての処理も含みつつ、実情はデッキ等に影響を及ぼす様な効果に対しても、『灰流うらら』の裁定を基準に見れば有効となり得ます。


例としては


  • 各種「PSYフレームギア」
  • 『SPYRAL-ザ・ダブルヘリックス』
  • 『儀式の準備』『儀式の下準備』
  • 「影霊衣」が誇る有用な儀式魔法となる『影霊衣の降魔鏡』『影霊衣の反魂術』
  • 「召喚獣」に於いては必要不可欠な『召喚魔術』等






一方で、「サルベージ・蘇生・除外」に当てはまらない効果に対しては墓地に干渉する効果であっても対応不可。
墓地のモンスターの効果をコピーする『覇王眷竜スターヴ・ヴェノム』や墓地で発動し「トークン」の生成やリクルートを成す『ダンディライオン』『ベビケラサウルス』等。



また、墓地からカードを除外する処理についても、効果の発動に際したコストとして支払うものにも非対応となります。
比較的広範囲に及ぶ効果ではありますが、抜け道もある程度存在する為、完全な墓地利用へのメタとまではいきません。


とはいえ、墓地に及ぶメタカードとして『屋敷わらし』の競合相手となる『D.D.クロウ』に対して発動する事も可能で、ある程度の墓地利用に対するメタとしての機能はもちろん、同様の役割を担うカード群への解答として有用となるケースもあり得ます。


先述もしましたが、『ソウル・チャージ』や『真炎の爆発』等の複数体モンスターを蘇生させる強力なカードに対しても有効となる点は、そのカードの効果自体に干渉する『屋敷わらし』の大きな利点と言えます。


この様に、従来のメタと比較した際、長所もあればきちんと短所もあり、採用を検討する際にはしっかりと双方に役割を持たせる事ができる相互互換の関係を保てています。
新たな手札誘発モンスター『屋敷わらし』の登場で、今後は妨害の採択もより一層幅が広がり、延いては構築、サイドデッキの構成等の自由度も増してゆく事が期待されます。




※ルール上の誤り等、お気付きの点が御座いましたらコメント欄にて御一報頂ければ幸いです。







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