機械複製術
通常魔法(1):自分フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスター1体を対象として発動できる。 デッキからその表側表示モンスターの同名モンスターを2体まで特殊召喚する。
2017年10月より施行された新リミットレギュレーション。
判明時より危惧されていた【SPYRAL】一極化説が現実となり、デッキ分布自体はそれなりにばらけるものの、上位入賞の多くを【SPYRAL】が占める現状となっています。
そんな【SPYRAL】も、サイドデッキは勿論の事、メインの段階での採用カードに関しても各々の個性が顕著に現れる形となり、共通の基盤【SPYRAL】に様々なパターンの補助が施されています。
中でも、差異が顕著に現れるのが
- 手札誘発の採択
- 展開補助カードの採択
前者は、固定と言っても差し支えないレベルの採用率を誇る『灰流うらら』『増殖するG』。
これらにプラスした部分の採択が分かれ目となります。
- 上記2種に次いで優先されがちな『浮幽さくら』
- 受けが広く、様々なデッキへ対応可能な『PSYフレームギア・γ』『幽鬼うさぎ』
- 限定的で、賛否は分かれるも状況次第で効力は絶大な『ドロール&ロックバード』
各プレイヤーそれぞれが"最良"と判断したものがその都度採用され、時には入賞リストに倣った比率で採択するケースも多いです。
環境の先読みや、プレイスタイルの影響も受けますが、畢竟、プレイヤーの好み次第といったところでしょうか。
続いて後者、展開補助カードの採択。
主に採用の分かれるカードとしては
- 『おろかな副葬』
- 『二重召喚』
少し前までは『盆回し』+『竜の渓谷』を採用した『亡龍の戦慄-デストルドー』搭載タイプの【SPYRAL】は比較的少数でしたが、現在はこちらのタイプが大半を占める事となり、それに伴い、環境初頭に採用の多く見られた『二重召喚』『おろかな副葬』はリストから削られる傾向にあります。
それでも、『盆回し』+『竜の渓谷』に加えてこれらの展開補助カードを搭載した超攻撃型構築も選択肢の一つとして、今なお猛威を奮います。
しかし、攻撃型の欠点としては、手札誘発による妨害を互いに投げ合う、比較的スローペースなゲーム展開を想定した場合、
攻め手を増やすうえで、「メイン枚数の増加」もしくは「手札誘発の枚数を削る」
といった策を講じている展開特化型側は誘発の投げ合いを制するうえでこれらが枷となるケースが考えられます。
そのため、オーバーキル要素を撤廃し、最低限の展開ギミックに妨害要素を加えた構築が現在は増加傾向にあります。
そんな中、一般的に固定枠扱いとされてきた『機械複製術』。
少し前に『機械複製術』不採用の【SPYRAL】が好成績を収めていた非公認大会の結果を目にしましたが、純粋にパワーカードとして評価の高い『機械複製術』故か、その後も同タイプに関して増加の兆しは見せていません。
しかし、直近の全国規模で行われた某大型非公認大会にて、見事優勝という最高の成績を収めたデッキがまさに『機械複製術』不採用型の【SPYRAL】となりました。
その代わりに『二重召喚』が3枚搭載されており、2枚コンボが前提となる【SPYRAL】に於ける展開パーツの偏りを極力減少に努めた構築という事でしょう。
さて、2日間に渡る大型非公認大会にて優勝という好成績を納める訳ですから、評価されがちな『機械複製術』のメリットに対して、不採用の案を選択するに足る"デメリット"が確実に存在することがわかります。
今回は、当たり前すぎてわざわざ気にかけることの少ない『機械複製術』採用のデメリットについて考えていきましょう。
驚異的なパワーを有する『機械複製術』ですが…
【SPYRAL】に於ける『機械複製術』。
そのパワーは驚異的で、『SPYRAL-ジーニアス』+『機械複製術』を発動され、手札誘発を握れていなかった場合は、一先ず畳んで次のゲームへ…と評されるほど絶望的な盤面を築く事が可能で、『二重召喚』や『おろかな副葬』と比較するまでもない爆発力を有します。
その反面、効果対象は『SPYRAL-ジーニアス』『SPYRAL GEAR-ドローン』の2種しか存在しません。
双方をフル搭載に加え、『SPYRAL RESORT』、これにアクセスする『テラ・フォーミング』『盆回し』、『ワン・フォー・ワン』も合わせれば単純計算で14枚の採用が成せるわけですが、それでも、噛み合わせ次第では発動不可となる試合もあり、【SPYRAL】に於ける展開カード中では最も安定に欠くカードと言えるかもしれません。
しかし、それを補って余りある程のハイパワーな派手さが、高い採用率を誇る所以でしょう。
ですが、若干のリソース消費量に差はあれど、『機械複製術』を介さずとも同等レベルの展開が可能な【SPYRAL】。
安定性向上を図るうえで、比較的安定に欠く『機械複製術』の不採用は必然と言えます。
しかし、いざ『機械複製術』を外すとなっても、代案として『おろかな副葬』を採用する場合、『SPYRAL MISSION-強襲』の採用が不可欠となり、メインのスロットを余分に食う形となり、勿論利点もありますが理想的とは言えません。
それを踏まえると、『機械複製術』を廃し、デッキのリソースに左右されず、確実に召喚権の増加が見込める『二重召喚』を搭載する案は小回りが利くうえ、メインのスロットを余分に割く必要もありません。
"安定を目指す"という指針にそぐった最適な案といえます。
若干のパワーダウンは否めませんが安定思考は高い勝率を叩き出すには必要不可欠。
一見思い切ったプランに映りますが、その裏には緻密な調整が成されていることでしょう。
それでも魅力的な『機械複製術』
"安定に欠く"と書いてきましたが、それは他のサポートに比べ、発動可能範囲の狭さを謳っているにすぎず、前述した様に『SPYRAL-ジーニアス』『SPYRAL GEAR-ドローン』、これらに相当するカードを含め、14枚は採用が可能で、この数を"十分"と捉えるか、"不足"と捉えるか、はそれこそプレイヤー毎に見解の違える部分となります。
"2枚セットで通れば勝ち"の少々大振りな展開を重視するか、パワーを落とし、パーツ毎の噛み合わせを重視するか、一強とされる現環境に於いては、こういった細やかなプラン、メタの採択部分に楽しみを見出すことで如何なる環境にも適応出来るのではないでしょうか。
マイナーなデッキでトップへ挑むも、トップのデッキをとことん極めるも、「遊戯王」乃至はTCG全般に於けるの醍醐味ですね。
0 件のコメント:
コメントを投稿